ボーイスカウト東京豊島第1団」カテゴリーアーカイブ

ボーイスカウト東京豊島第一団

皆さまは学習院にボーイスカウト団があることをご存知でしょうか。
又、学習院は日本に於けるボーイスカウト(BS)の歴史には欠くことの出来ない存在でもあります。一昨年(2020年)は創設70周年を迎え、学習院ボーイスカウト団にとって記念すべき年でした。

学習院とBSについて紹介させて頂きたいと思います。なお、小生は設立当初の初等科5年生から参加し、幸運にも高等科2年の春には日本代表として11人の一人として米国に派遣される機会に恵まれました。

.日本におけるBSの歴史と学習院関係者の関りは、第10代学習院長の乃木希典大将がイギリスで始まりアメリカへ急速に拡大したこの少年教育活動に早くから注目し、1911(明治44)年 ジョージ5世国王陛下戴冠式に際し渡英、スカウト活動を視察し、創始者ベーデン・パウェル卿(B-P卿)と直接面談してその考えを聴取しています。この活動に感銘を受けた乃木院長は、帰国後片瀬游泳訓練に於いてB-P卿直伝のテントによる幕営生活を取り入れています。非公式ではありますが、これが現在に至る日本の野外キャンプ形式のルーツとも伝えられています。

.戦前の少年団日本連盟・理事長であった二荒芳徳(伊達九郎)先輩、戦後の日本におけるスカウト活動再生に総長として尽力された三島通陽先輩、日本連盟総長として多年に亘り日本のスカウト活動に尽力された渡邉昭先輩、また、日本連盟国際コミッショナーを務められた松平頼明元団委員長は、BS世界機構から「ブロンズ・ウルフ章」を授与されたスカウト運動の功労者でいずれも学習院の卒業生です。
この他、後藤新平氏、松下幸之助氏、本田宗一郎、井深大氏他実業界の功労者も大いに貢献しています。これらの先輩諸氏は日本の将来、将来を担う若者に対する期待を一身に背負い、熱心に活動されました。真に、ノブレス・オブリージであります。

.第2次大戦後ボーイスカウト日本連盟として再発足したこの活動に、竹下勇大将から山本権兵衛の孫にあたる山本満喜子氏へ加入の推奨があり、我が団は学習院の児童・生徒を隊員とする所謂「学校隊」として1950(昭和25)年に正式登録をしました。当時の名称は、東京で21番目の隊であることを表す「東京第21隊(TOKYO Troop21)」として当時の初等科5,6年生、中等科1年生  と数名の指導者で発足し高輪の山本家で活動を開始しましたが、東京連盟が23地区制となった1978(昭和53)年より現在の「東京豊島第1団」となっています。

.登録当初は少年隊(現在のボーイスカウト隊)のみであった我が団の隊構成は、1954(昭和29)年に年長隊(現ベンチャースカウト隊)が加わり、1972(昭和47)年に年少隊(現カブスカウト隊)の発足以降、現在の三隊編成となっています。
現行の教育課程に合わせ、カブスカウト隊(CS隊):初等科3年生〜5年生(約60名)、ボーイスカウト隊(BS隊):初等科6年生〜中等科3年生(約30名)、ベンチャースカウト隊(VS隊):高等科1年生〜高等科3年生(約20名)となっており、これらの児童、生徒を学習院大学学生と本院卒業生を中心とするリーダーが指導しています。
こうした年齢構成により、BS隊とVS隊では通常の隊活動が各科の垣根を越えた活動になっています。さらにCS隊にBS隊の中等科生を派遣し初等科生にアドバイスするデンコーチ制度(男女中高等科生)やVS隊の高等科生がBS隊のスタッフとして初等科生・中等科生をサポートする上級班長・隊付制度により、学内のクラブ活動以上に幅広い年代が交流できる仕組みとなっています。
主な活動内容は、ハイキング、キャンプ、ロープワーク、救急法、方位観測などを中心にした野外活動、また、大学生を主体とするリーダーには、OBや父母で構成される団委員会への定期報告(月1回)を通じて指導・援助を得られる体制がとられており、社会人としての報告、連絡、相談の研鑽を積む機会にもなっています。現在学習院ボーイスカウト団は日本の中でも所属人数の多い団として注目されています。

.学習院のボーイスカウト活動は、一貫教育の有効性を掲げる学習院の中に於いても、各科を縦断、横断的に組織する数少ない課外活動団体であり、今日まで初等科をはじめ男女中等科・高等科では正式クラブに準ずる特別団体として各科長先生以下にご理解・ご支援を、1951(昭和26)年より永年にわたり頂き、最初は戸山校地内に米軍からカマボコ兵舎を払い下げてもらい隊舎とし、後に目白校地内に隊舎設置の御了解を得て院内で活動をしています。
今日では、初等科生から大学生、さらにOB・父母までが一つの活動に傾注する輔仁会の団体は、私たちのボーイスカウトを除けば、伝統ある剣道部ほか管弦楽団などごくわずかです。その中でもボーイスカウトの活動は、日常的に各科の児童・生徒・学生が活動を共にしている点、活動の場を野外においている点で、通常の学校生活だけでは得られない貴重な体験が出来る場と言えます。

おわりに
前述の如く、我が学習院隊(東京豊島第1団)は、2020(令和2)年に創立70周年を迎えました。創設期に尽力された方々のご苦労を思い、今日までの我が団活動の発展充実に貢献され、支えてこられた学校関係を含めた多くの人々のご努力に衷心より感謝いたします。

(ボーイスカウト東京豊島第1団OB会長)
東園基政 (昭36理物卒)