哀しみの晩春
追悼 津端きしを様
津端きしを句集 『端居』 より五句
乗り降りに大きく揺れて恋ボート
母在りし日のごとき風端居して
帰省子の積もる話は又あした
思ひ出にあとさきはなし遠花火
花の影地には届かず冬桜 葛生みもざ選 (学習院俳句会役員 「花鳥」同人)
津端きしを様は学習院俳句会創立当初(1953年・昭和28年)からのメンバーである。入会当時は大学生であった。そして長い間学習院俳句会の運営に携われ、合同句集「岩ひばり」の編集にご尽力下さった。
津端様は建築設計を専門として、ご自身の事務所にて堅実な事業を展開しておられた。
俳人としては1984年(昭和59年)に鷹羽狩行主宰「狩」に入会、その後同人として活躍された。
学習院俳句会では長い間会長を務めて頂き、俳句会を束ねられた。会長役を引退されてからは名誉会員として後輩を導いて下さった。
いつも穏やかで眼差しに優しいお人柄が溢れ、人望がおありだった。本年5月14日、97歳の天寿を全うされた。
約束の俳史よとどけ銀杏降る 葛生みもざ
追悼 遠藤風琴様
俳誌 『わかば』より 五句
風生の「若葉」「わかば」へ年新た
初暦富士の高嶺の匂ふごと
猫が好き俳句大好き風生忌
私はいつもわたくし春の雪
赤ちゃんがお腹に居ますスイトピー
早坂ようこ選 (学習院俳句会役員 「わかば」同人)
遠藤風琴様は、富安風生のご息女である。2022年には句集『春が来て』を上梓されている。昭和3年(1928年)に創刊された「若葉」が令和4年(2022年)に突如終刊されたことを受け、遠藤風琴様は直ちに新生「わかば」を立ち上げた。
ヨガに魅せられてたびたびインドを訪れた。多才でゴルフやダイビングを楽しみ、ハングライダーでは文字通り空を羽ばたいた人であった。
学習院俳句会役員として句会を盛り上げて下さり、新年句会ではいつも乾杯の御発声役で「笑うことは健康にいい。わっはっはー」と両手を広げて声高らかに唱和してくださった。
まさに太陽のような女性が、「若葉」創刊100年を三年後に控えての急逝であった。
学習院俳句会会員弔句
みなつきの空に久遠の慈顔あり 多田野分子
赤富士やいつもとなりに君のゐて 早坂ようこ
君逝きしこと諾へずそぞろ寒 早坂ようこ
句友 遠藤風琴「わかば」代表を悼む
赤富士へ沈みゆく日を留め得ず 湯口昌彦 (「汀」2025.10月号掲載句)
喜びの初秋
2025年8月25日に開催されました全国俳句におきまして
学習院女子部在校生が目覚ましい活躍を致しましたのでご報告致します。
☆俳句甲子園全国大会 最優秀賞
「天に地に鶺鴒の尾の触れずあり」 本間 まどか(女子高等科二年)
・団体奨励賞 学習院女子高等科
☆俳人協会全国俳句大会ジュニア部門 優秀賞
相山 久乃(女子中等科一年)
東風谷莉世(女子高等科二年)
島崎 結菜( 〃 )
千代はるか(女子高等科三年)
・学校賞 学習院女子中等科及び女子高等科
伝統ある大会での快挙を讃え、今後のご活躍をお祈り申し上げます。
新刊のお知らせ
栗林 浩 著 『還って来なかった兵たちの絶唱』―戦後八十年― (角川書店)
学習院俳句会の旧会員、俳人で評論家の栗林 浩様が新しいご著書を角川書店より出版されました。
上梓、おめでとうございます。
学習院俳句会は、超結社の楽しい句会です。選者は「花鳥」主宰の坊城俊樹先生です。ご興味のある方は、お気軽にご連絡下さい。
いつでもお待ちいたしております。
連絡先 多田野分子 ☎ 03-3988-3288(桜友会事務局より学習院俳句会にお取次ぎ申し上げます。)
2025.10月 学習院俳句会事務局 佐貫亜美・葛生みもざ 記 林なおみ 編









