史蹟研究会は昭和39年度、鉄道研究会から分かれて発足した。当時の鉄道研究会の活動は史蹟や観光地を回ることも多かったという。そこでそのような史蹟巡りに興味を持った何名かが集まり、法学部の熊坂武雄氏(昭41法)を委員長として史蹟愛好会が作られた。当時から、史学部が別にあったが、少し難し過ぎるのと、もう一つ別の理由で史蹟愛好会を作ったという。
そのもう一つの理由を、史蹟愛好会の設立者の1人である辻阪昭浩氏(昭41法)に聞くと、当時の鉄道研究会は男性ばかりで女性がまったくいなかったという。そこで何人かのメンバーが、女性とも話をしてみたい、ということで、もう少し観光的な史蹟愛好会を作ることになったという。辻阪氏によれば、「真面目20%、不純80%のスタート」ということになる。ところが、その当初の目的が当たり、後に4組の夫婦が誕生した。
発足時のメンバーは12~13名で、男性は法学部と経済学部、女性は文学部が多かった。
鉄道研究会から分かれたとはいっても、まだ、兼部しているメンバーも多く、場合によっては鉄道研究会と合同で活動をすることもあった。
また、現在まで続く土曜史蹟や夏合宿、春合宿、学祭での発表などは、この発足時からのものである。
このような歴史をたどり、一昨年、平成12年に史蹟研究会は「史蹟研究会設立35周年記念総会」を開催した。この時は多くの方々が集まり、400名強のOB・OGのうち、100名以上が参加したというから驚異的な出席率だ。
史蹟研究会のOB・OG会は「あすかまほろば会」という名称で、6月に年1回、総会と、OB・OG・現役の交歓会が開かれる。この時にOB・OGから現役に様々なものが寄付されるそうで、今活動で使っているパソコンもそのようにして寄付されたものである。この総会・交歓会は、5年に一度、大規模な会を開き例年以上のOB・OGが一堂に会する。その一つが前述の35周年記念総会だ。
ここで現役の活動にも目を向けてみたい。ほとんど設立当初の活動を引き継いでいる。まずは土曜史蹟と呼ばれる、毎月第2土曜の都内の史蹟巡りがあり、4月は浅草、6月は鎌倉が恒例となっている。この土曜史蹟には都合をつけて参加するOBの方もいるという。そして夏と春に、それぞれ合宿が行われ、夏合宿の調査の成果を11月の大学祭で発表する。今年の夏合宿は山陽で、大学祭の発表も姫路城や毛利元就などを中心とした山陽に焦点をあてたものだった。
現在のメンバーは11月の大学祭で引退した3年生を含めて20名弱。全盛期には総勢50~60人いたというから、残念ながらずいぶんとメンバーは減っている。そこで現在の史蹟研究会について3年生で前委員長の平達矢氏に話を聞くと、「歴史の好きな人には旅の楽しみも知ってもらいたい。旅の好きな人には歴史にも興味を持ってもらいたい。今は歴史好きと旅好きがお互いにいい意味で刺激し合っています」と、心強い言葉が戻ってきた。
アットホームな雰囲気のわりには真面目、真面目なわりにはアットホームな雰囲気の漂うサークルが史蹟研究会である。
平成12年、史蹟研究会設立35周年の時の一枚
土曜史蹟恒例の「鎌倉ツアー」。鎌倉最古の寺「杉本寺」の前で
平成5年の部室の様子。ここが史蹟研究会の活動拠点。